2012年06月

ライモンダ

ライモンダ第3幕から 大園エリカさん

写真のダンサー
大園バレエスタジオ主催者 大園エリカさんです。
とても素晴らしいダンサーです。
幾つかのバレエに関する著書も書かれています。

演目内容
ライモンダ
特徴的な踊りのシーンが多い演目です。
第1幕では、長い白のスカーフを持って踊るライモンダのパドドゥが有名です。
第3幕のライモンダとジャンとのパド・ドゥでは、女性バリエーションで 手を打つシーンが有名で、よく発表会で踊られます。

写真的考察
撮影カメラ EOS1DMark2
写真のアラセゴンに上がった足は、教科書通りのお手本となるような正確な位置で、身体全体に伸びやかさがあり、軸もバランスも見事に一点に集まったもののように見えます。
自分でも素敵なシーンだと思ってしまいます(^_^)

コンクールなどでは、アラセゴンに上げる足は高いほど得点が高いように思われがちで、必要以上にそう踊るダンサーが沢山います。
私はそれよりも正確な位置でキープできる方が好みです。

プロのダンサーは、初心者に比較して一つ一つのパをお客さんに見せている時間が長いです。
上記写真などのように、普通のダンサーでは、なかなか全てが揃わないのです。
カメラマンとしては、優秀なダンサーのこういうシーンは、10回撮影しても10回同じシーンが撮れてしまいます。

発表会ではアマチュアダンサーの方が多いのが一般的です。
カメラマンの技量としては、どちらかと言えば プロダンサーを撮る方が簡単なのです。
アマチュアが多数占めている発表会では、プロ公演を撮る事とは、別な資質が必要です。

その資質の一つに、写真撮影後の写真のセレクション時には、バレエの一つ一つのパの正確性を理解しておく必要があると思えます。
複数の同一カットを撮影し、その中から良い一枚をセレクトするという作業。
そうなると、究極的には「バレエ教師としてのパのあるべき姿」の知識を持っておく方が良いと思われます。

バレエカメラマンは、なかかなにそのレベルへの到達は難しいですが、それを目指しておく事は最低限必要だろうと思われます。

タンバリンエスメラルダ

演目考察
タンバリンエスメラルダと言えば、そのタンバリンを足で叩く高さが特徴的になっています。
特にこの演目を踊られるダンサーは、それなりの技量を持ち合わせているのが普通です。

テクニカルな内容の多いこの演目はバレエコンクールでも、特にテクニックを持っている人達が踊る率が高いようです。
逆に言えば、一番の特徴であるタンバリンを足で叩くという動作も、頭の上まで足が上がらないとなかかなに、見栄えの良い踊りには見えません。
コンクールではテンポ遅めが難しい部類に入ります。
普通の発表会でもエスメラルダという演目名だけを見た場合、お客さんが期待する所があります。

写真的考察
カメラマンとしてはリズミカルなこの曲は、そのリズムに合わせてシャッターをきれば撮れるもので、簡単な撮影の部類になります。

バレエの写真の優劣というのはどういう事でしょうか。
バレエは人に魅せるタイミングが決まっているものです。
撮影するタイミングが決まっている被写体は、そのタイミングを把握すれば、とても簡単な撮影の部類になります。

通常の写真の世界では、光と影を考慮してそれをコントロールして写真にまとめ上げるのがカメラマンとしての技量です。
ところが、舞台写真では、光と影を明示的にコントロールする事ができませんし、また被写体のポージングに対してカメラマンの声の届く範囲でもありません。

それならば、ある一定以上のバレエカメラマンとしての差異というのはどういう所に出て来るのでしょうか?
これは永遠の課題だろうと思いますが、カメラマンはこの問いに対して自分なりの回答を用意しておかなければならないと考えます。

薄雪写真館のネコ主人(はまなす写真館の物語に出て来るネコさん)が言う「写真なんて修正技術があってなんぼのもの」も一理でしょ。

エスメラルダ

演目内容
エスメラルダ。
バレエコンクールではよく踊られる演目で、タンバリンエスメラルダという名称でも呼ばれていますね。
ジプシーダンサーである娘が最終的には悲恋の末亡くなって行く物語で、現状では全幕公演というのはない模様です。

写真のダンサー
新野亜矢さん。(写真は9年前のものです)
現在エプリバレエスタジオでバレエ教師をやられています。
また化粧品やチャコットのモデルもやられている素敵な方です。

ダンス考察
なんの事はないポーズです。
言ってしまえばこのポーズだけ取り出せば、誰でもが出来てしまうものと思えてしまいます。
しかし、本番の舞台上で一つ一つの動作をお客さんに見せて、更に一番良いのは、目線がしっかりしているという事です。
人物の写真は全て目が命です。
それはバレエでも同一です。
目は自意識だけでコントロール可能なものですから、舞台に立つ人はプロは言うに及ばず初心者も必ず目線の意識は持たなければなりません。
アラベスクやジャンプなど大きなパでなくとも、ありふれたポーズでも心に残る写真というは出来るものなのです。

写真考察
写真自体はEOS-1Dという400万画素のカメラで撮影しています。
今時スマートフォンでさえ1000万画素という時代にその当時はまだまだデジタルカメラ創世時代だったのです。
発表会での小品集の一つとして踊られたものですが、私の場合は、必ずRAWで撮影し、後日カラーマネージメント環境のしっかりした環境下で、全体のダイナミックレンジを調整したり肌色を中心に現像したりします。
演目内容や発表会と公演によって、照明効果も考慮して現像するのも当然の作業と思います。
よくJPEGで撮影している他の業者さんもいらっしゃるのですが、厳密な色のコントロールができないので私はRAW現像という手法をとります。
以下の写真はよくありがちな色のコントロールのないダメ写真です。 

エピソード
発表会本番の舞台でしたが、板付きから始まるものだったはずですが、なんと彼女が舞台中央に歩いている時に 音が鳴ってしまいました。
そしてやり直しされました。舞台で「やり直し」というは原則なしの世界です。
彼女はとても動揺を受けたようでしたが、その時の写真です。

注意
windows添付のブラウザIEでは、正しく写真を鑑賞できません。
色が正しく出るSafariでご覧下さい。