ジゼル

ジゼル:蒲萄祭り From 2016 KidsDanceM Performance

ジゼル:許し From 2016 KidsDanceM Performance

ジゼル:許し From 2016 KidsDanceM Performance

ジゼル:愛 From 2016 KidsDanceM Performance

ジゼル:愛 From 2016 KidsDanceM Performance

演目

 

バレエスタジオ KidsDanceM 2016年発表会 ジゼル全幕から。
ジゼルの物語は言うまでもありませんが、貴族アルブレヒドが村民に扮して村民のジゼルを愛してしまった事から、悲劇が始まります。
物語は、第一幕ではジゼルとアルブレヒドの愛の告白から、村人立ちの蒲萄祭りに始まり、最後ジゼルの狂乱から死へと流れます。
第二幕は妖精となったジゼルが、アルブレヒドを妖精達:ウィリによって死ぬまで踊らせられる死から救います。
表の物語は悲恋に満ちた物語ですが、本当にかわいそうなのは、ヒラリオンだったように思います(^^;)

ジゼルという演目は、チャイコフスキーの4代バレエに比べると、演劇性が強く、踊り以上に物語りとしての演技の流れが人を魅了している事が感じられます。
発表会では全幕はあまり踊られません。
どちらかと言えば、個々の踊りより、キーとなる主役と群舞からなっている為、それ以外の個人の踊りを見せる機会が少ない為だと思われます。
しかし、どのお教室でもジゼルに対しての思い入れは強いので一度は全幕を実施したいと思っていると推測しています。

他のメジャーな幕物に比較して、ジゼルという演目は主役女性(ジゼル)以上に主役男性(アルブレヒド)の演技性が重視されると思います。
今回の発表会では、お客さんの多く更に踊っているダンサー達もジゼルの世界に浸れたとても良い舞台でした。
発表会としては異色の出来だったと思います。
再演時には 更に良い舞台となる事を期待しています。

主なダンサー達
ジゼル:佐藤優美 ミルタ:佐藤愛美  ゲストダンサー(東京バレエ団)/アルブレヒド:柄本弾 ヒラリオン:森川栞央

写真的考察

D4S + 70-200mmF2.8 + 200-400mmF4 (部分的にD5 も)
私の舞台に対する写真の考え方は、発表会では個人を中心に、公演ではその演目内容が伝わる事を中心に最終的な写真を作成する事を基本としています。
但し今回のように、演劇性の強い演目では例え発表会でも、公演的観点からの写真作成をする部分も必要だと考えますが、基本は発表会なので、イマジネーションよりは、個人の演技内容がしっかりと写真として見られるものというのが基本になります。

ジゼル:蒲萄祭り
普通の舞台写真においては、このような写真には成りがたい物になっています。
まず素敵な背景をある程度写真としては見せる必要あり、その中で、スポットの当たっているジゼルの明るさとのバランスを取る必要があります。
通常の公演では、全体的な色調は色温度が結構低めで、黄色ぽい舞台ですが、ここでは全体明るめに現像しています。
後ろの群舞で踊っているのは、高校生以下の子供達ばかりですが、アラベスクも揃っておりとても良いと思います。

ジゼル:許し
ジゼル2幕全体の色調は、青色系統のものと、モノクロ系統のどちらかで公演が行われています。
今回は青色系統のものなので撮影スタイルとしては、色温度を若干青系等が薄めになる5300K程度にし、現像時に、青色と個人の肌色に違和感がなくなるように現像します。
通常のJPG一発撮りでは、ダンサーの肌はより赤ぽいものになりますが、ここでは、発表会という事も意識し、ある程度肌色も出しながら物語イメージが伝わるように現像します。
撮影時には、全体を撮ると共に、寄りでジゼル中心も同時に撮影しています。

ジゼル:愛
ジゼルで最も叙情溢れる箇所ですので、踊り以上にマイム・表情の一瞬を求めながら撮影するのが、大切です。
私は自分でもバレエをもう25年以上踊っていますが、全く初心者の踊りの域を出ませんが、それだけにバレエを常に1カット・1カットに分析するように区切って見ている性質があります。昔、このようなシーンを撮る時は、とても高揚感があったのですが、今は職業としての意識の方が高いので、舞台には入り込めずに客観的に撮影している自分を感じています。

全体感想

一流バレエ団ゲストダンサーの力添えはあるものの、よく発表会レベルで今回のような舞台が出来たのは、非常に希だと思います。
日本全体を見ればバレエのお教室の中には大規模数百人レベルの生徒を保持している所で演じるのも結構厳しい演目を、観客ばかりかダンサーにも涙を流させた舞台は、発表会としては非常に希な舞台だったと思います。
その舞台を、写真としてほぼ完全に撮りきった事に、私のやりがいがあります。

「くるみ割り人形」から クララ

クララ

[演目]
バレエスタジオAile(エル) 第4回発表会より ~クララの夢~
 毎年クリスマスの時期の発表会では必ずと言っても良いくらい「くるみ割人形」が演じられます。
子供が主役の演目としても有名で、テレプシコーラでも千花ちゃんがプロデビューしたのもクララでしたね(^_^)
プロ公演でのクララ役はテレプシコーラの中でも演じられているように、クララが全幕に何らかの形で出演する場合もありますが、テクニカルにも観客に踊りとしての不安さを感じさせない安定した力が求められます。
発表会では技術以上にクララとしての表現=演技力の方が大切なように思っています。

[写真的考察]
D4S +  200-400mmF4  PC連結テザード撮影Camera Control Pro2利用
現像ソフトCaptureOnePro9

写真のクララさんは、とても表情豊かでクララそのものでした。
こう言うダンサーを撮っている時には、写真を撮っているというよりファインダー越しにその表情を中心に鑑賞している感じなります。
表情を先行させて撮る事で動きはその中に入り込むという感じになります。

この写真での現像では、ホワイトバランスは強く取らずに、暖かい感じでかつ、その中でも肌色をある程度再現させる事になります。
多くの同業の方がこのシーンを撮影した場合、かなり赤みの強い表現になってしまうと推測しています。

windowsIEで見ると赤みの強い表示になりますが、GoogleChrome / Safari 等カラーマネージメント対応されたブラウザーで見られる事をお勧めします。

シンデレラより

私も出たい舞踊会(^^;)

私も出たい舞踊会(^^;)


[演目]

バレエ教室KidsDanceM 第16回Performance(2015年開催)より シンデレラ(創作)全幕

写真のシーンは王宮での舞踊会に参加できるチケットが来た事を母親が姉妹に伝えて、姉妹が喜んでいるシーンです。
よく見るとチケットは3枚来ていますが、後ろにいるシンデレラは初めから相手にされていません。

[ダンサー]
佐藤優美さん
・FLAP バレエコンクール 2015年 14回 1位 等
ももこさん
・2015年 第13回バレエコンクールin横浜 赤い靴賞 等

コンクールでは正確に踊れるダンサーだからこそ、演劇バレエの世界で踊りでお客さんに物語を伝える事ができると思っています。
母親役のイケメン男性ダンサーは一体どこの方でしょうか(^_^)

[写真的考察]
D4S +  200-400mmF4
発表会ですが全幕バレエなので、どちらか言えば個人中心というよりは、物語のストーリィを中心として、更に色調の再構築作業も、公演よりのものにしています。
このカットでは、主人公であるシンデレラ・いじめ役の姉妹・母親を全て入れ込んでいます。

舞台撮影の多くには色の再構築が必要だと考えています。
発表会では、我々が提供する主要なお客さんは、第三者でもなく本人自身あるいは本人のご家族さんがである場合がほとんどです。
その場合に必要なのは、個人としての適切な写真だと考えています。
写真を最終的に評価する人の立場になって、幾つかの再構築観点を変える事が必要です。

色味は色温度の機能を活用する事になりますが、元々カメラで設定できる色温度というのは下限が2500K以上になっており、
それより下の色温度設定が使えません。
と言う事は、適切な色温度そのものを設定できない場合がありますし、そもそも色温度だけで、色の再構築が完結するものではありません。

以下に簡単な評価を掲げます。
色温度はカメラ機能によって予め設定できます。
オートはカメラの自動設定にまかせる機能ですが、NIKONのカメラには、2種類のオートが選択ができます。

  • 電球モードは、固定的にホワイトバランスを3000Kに設定
  • オート2はホワイトバランスを弱く設定
  • オート1はホワイトバランスを強く設定

という事になります。

今回の写真画像では、オート2と1は以下のような色温度になっていました。
A.電球モード 3000K相当
B.オート2   3550K相当
C.オート1   2660K相当

どちらにしろオートにまかせるというのは、あくまでもアバウトな設定です。
色温度だけをいじって色を再構築はできないのです。

電球モード

電球モードが良い写真なのでしょうか?

オート2

オート2が良い写真なのでしょうか?

オート1

公演の写真では使える場合もありますが、実際にこの舞台をみているお客さんには、このようには見えていません。

舞台撮影とは撮影だけで完結する作業でなく、撮影後の色の再構築作業が必須だと考えています。