双眼鏡 舞台鑑賞

CANONの 8×25IS という双眼鏡です。
倍率8倍の手ブレ補正付き仕様です。
市販実質価格は 2万5千円くらいです。

舞台撮影では50万円以上するレンズで撮影していますが、この双眼鏡はとてもびっくりしました。
両目で見る舞台上というのは、片目で見るカメラとは全く違った画像が見られます。

例えば「胡桃割り人形」の演目では、しばしば群舞で雪のシーンが踊られます。
雪を模した紙吹雪が舞う中をダンサー達が踊ります。
双眼鏡でこのシーンを見ると、その雪とダンサーとの間の距離間までわかりますし、ダンサー達が舞台上で感じている照明の明るさなども感じられます。

2階席からでもダンサーの表情をしっかり確認できますし、手ブレ補正付きなので、長時間双眼鏡を覗いていても疲れません。
仕事から離れて舞台鑑賞する時には必ずこの双眼鏡を持参しています。
演技者の表情まで確認できればより舞台が楽しめます。

倍率的には8倍ですが、この倍率が一番適切だと思います。
小さなオペラグラスとは全く違います。

私はCANONの回し者ではありませんが(^_^;)
この双眼鏡の画像だけは誰にでも見て欲しいものです。

舞台鑑賞にはイチオシのアイテムです。

追記
「胡桃割り人形」の雪のシーンと言えば、各バレエ団の群舞としての実力の見せ所で、とても美しいシーンがよく見られます。
でもあの「テレプシコーラ」の千花ちゃんのグラン・ジュッテをいつも思い出してしまい、ジャンプシーンがあると少しハラハラしてしまうのは私だけでしょうか。
バレエ発表会で子供達を撮影するのが多いので、子供達の心を理解する上でも多くのバレエ漫画(趣味も兼ねて…)を読んでいたりします(^o^)
聖真澄 リリアナ…

 

ライモンダ

ライモンダ第3幕から 大園エリカさん

写真のダンサー
大園バレエスタジオ主催者 大園エリカさんです。
とても素晴らしいダンサーです。
幾つかのバレエに関する著書も書かれています。

演目内容
ライモンダ
特徴的な踊りのシーンが多い演目です。
第1幕では、長い白のスカーフを持って踊るライモンダのパドドゥが有名です。
第3幕のライモンダとジャンとのパド・ドゥでは、女性バリエーションで 手を打つシーンが有名で、よく発表会で踊られます。

写真的考察
撮影カメラ EOS1DMark2
写真のアラセゴンに上がった足は、教科書通りのお手本となるような正確な位置で、身体全体に伸びやかさがあり、軸もバランスも見事に一点に集まったもののように見えます。
自分でも素敵なシーンだと思ってしまいます(^_^)

コンクールなどでは、アラセゴンに上げる足は高いほど得点が高いように思われがちで、必要以上にそう踊るダンサーが沢山います。
私はそれよりも正確な位置でキープできる方が好みです。

プロのダンサーは、初心者に比較して一つ一つのパをお客さんに見せている時間が長いです。
上記写真などのように、普通のダンサーでは、なかなか全てが揃わないのです。
カメラマンとしては、優秀なダンサーのこういうシーンは、10回撮影しても10回同じシーンが撮れてしまいます。

発表会ではアマチュアダンサーの方が多いのが一般的です。
カメラマンの技量としては、どちらかと言えば プロダンサーを撮る方が簡単なのです。
アマチュアが多数占めている発表会では、プロ公演を撮る事とは、別な資質が必要です。

その資質の一つに、写真撮影後の写真のセレクション時には、バレエの一つ一つのパの正確性を理解しておく必要があると思えます。
複数の同一カットを撮影し、その中から良い一枚をセレクトするという作業。
そうなると、究極的には「バレエ教師としてのパのあるべき姿」の知識を持っておく方が良いと思われます。

バレエカメラマンは、なかかなにそのレベルへの到達は難しいですが、それを目指しておく事は最低限必要だろうと思われます。

タンバリンエスメラルダ

演目考察
タンバリンエスメラルダと言えば、そのタンバリンを足で叩く高さが特徴的になっています。
特にこの演目を踊られるダンサーは、それなりの技量を持ち合わせているのが普通です。

テクニカルな内容の多いこの演目はバレエコンクールでも、特にテクニックを持っている人達が踊る率が高いようです。
逆に言えば、一番の特徴であるタンバリンを足で叩くという動作も、頭の上まで足が上がらないとなかかなに、見栄えの良い踊りには見えません。
コンクールではテンポ遅めが難しい部類に入ります。
普通の発表会でもエスメラルダという演目名だけを見た場合、お客さんが期待する所があります。

写真的考察
カメラマンとしてはリズミカルなこの曲は、そのリズムに合わせてシャッターをきれば撮れるもので、簡単な撮影の部類になります。

バレエの写真の優劣というのはどういう事でしょうか。
バレエは人に魅せるタイミングが決まっているものです。
撮影するタイミングが決まっている被写体は、そのタイミングを把握すれば、とても簡単な撮影の部類になります。

通常の写真の世界では、光と影を考慮してそれをコントロールして写真にまとめ上げるのがカメラマンとしての技量です。
ところが、舞台写真では、光と影を明示的にコントロールする事ができませんし、また被写体のポージングに対してカメラマンの声の届く範囲でもありません。

それならば、ある一定以上のバレエカメラマンとしての差異というのはどういう所に出て来るのでしょうか?
これは永遠の課題だろうと思いますが、カメラマンはこの問いに対して自分なりの回答を用意しておかなければならないと考えます。

薄雪写真館のネコ主人(はまなす写真館の物語に出て来るネコさん)が言う「写真なんて修正技術があってなんぼのもの」も一理でしょ。