EOS R 試用レビュー
2018年9月20日 EOS Rをショールームにて試用してきました。
その時の感想です。
NIKONへの春の要望書
以下の文章は今年の4月にプロ会員ですので、そのルートで出した要望内容です。
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次期開発するフルサイズミラーレスについての要望事項
D5 D850 D5 を保持し、ほぼ全てミラーレスメーカカメラを使ってきた上での
次期Nikonフルサイズミラーレスカメラについての要望です。
現状のミラーレスのカメラ全般については動態を撮影するには能力不足です。
全てのミラーレスは、シャッターをきった後、次ぎにファインダー上で被写体の動き
を見るという間に、ブラックアウトあるいは前画像が表示されたままになっており、
次ぎの被写体をファインダーで確認するのに時間がかかり、次ぎの被写体の
チャッターチャンスを逃すという事です。
現行の一眼レフでは、シャッターをきった後に、即座にミラーが元に戻り、
その内部的なセンサーの電子的処理が完了する前に、ファインダー上で被写体を
確認できます。
現行においては、この相違が動態撮影にミラーレスが向いていないという事になります。
カメラまかせの連射機能も必要ではありますが、基本機能は、
ファインダー上で常に被写体を追える事です。
Nikonが次期フルサイズミラーレスをリリースする時には、
現在の一眼レフ機の1カット撮影後ファインダー上で次ぎの被写体確認ができるまでの時間
を最低限死守した物をリリースされる事を強く要望致します。
これなくして、Nikonがフルサイズミラーレスを出す意味はないと考えます。
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上記文面は、プロ会員窓口に通して開発陣に渡された事になっています。
機能的な要望としては、極普通でかつ当然の要求内容です。
ミラーレス最大の問題点
通常カメラの動きは以下の順番になっていると思います。
1.ファインダー上で被写体を確認する
2.AFの起動をかける(シャッター半押しや親指AFにて)
3.レリーズする
4.カメラ側の処理で一瞬待ち合わせが発生する
5.ファインダー上に被写体が表示される
特によく言われるのは、上記4.の箇所で、ミラーレスの場合には、ファインダー上に何も写らなくタイミングが発生するという いわゆるブラックアウトという事象がよく話題になっています。
もちろん従来の一眼レフでもブラックアウトは発生していますが、目の錯覚やミラー機構のおかげで、ブラック率が低いので、当然の事象として認識されていました。
しかし、ミラーレスにおいては、ミラーが存在していない為に、ブラックアウトは、本当の真の闇になってくるので、よりユーザに目に残り易いという問題がありました。
ブラックアウトというのは、NIKONへの要望内容に記述通り、詳細には、2種類存在します。
真の闇になる真のブラックアウトと、闇にはならずにシャッタを切った時の静止画像が表示されたたままになっている形 ここでは、残像が残っている事を、ディレイドアウトと言う言葉で表しておきます。
結局 ブラックアウトあるいはディレイドアウトも、本質の問題は、次の被写体をいかに早く表示し、ユーザに次の被写体の確認をさせ得るかが重要であり、ブラックアウトもディレイドアウトも最短である事が望まれています。
詳細には、ディレイドアウトはブラックアウトより問題です。
というのもディレイドアウトの画像は、「5.ファインダー上に被写体が表示される」による表示画像と区別がつかない為です。
区別がつくとしたら、シャッター押下後に、被写体の状態が変わった時に初めてわかる事になります。ユーザは、ファインダー上の画像を見て被写体を確認するのに、過去に撮影された画像を見て、それが新しい被写体の画像と見間違う事にもなりますし、新しい被写体画像が表示されると、一瞬、画像がワープしたように見えてしまいます。
ディレイドアウトは大きな問題です。
ブラックアウトの方はユーザがその間カメラが処理している事を知るだろうし、ブラックアウトしている時には、シャッターはきりません。
ただしディレイドアウトは、その時にもシャッターをきってしまうかもしれません。
Sonyのα9を筆頭に、DC-G9やその他のマイクロフォーサーズ、FUJIもその部分は、最小限に押さえられており、通常のスナップや風景撮影では、問題にはならないレベルにはなっています。
ただし、動態に対しては、やはり、α9以外に関しては、ブラックアウトつまりは、次画像の表示までの時間が問題であるのが現実のミラーレスの性能です。
ただし カメラまかせの連写機能では、ある程度克服しつつあるのも現実です。
特に顕著なのは、α9さえ越えてしまったX-T3の超高速連写は、動画撮影そのものです。
NIKON Z7の動作
Z7はメカシャッターおよびサイレントシャッターともにディレイドアウトでなくブラックアウトが発生します。
メカシャッターでは、私としては、特に問題になる程度ではないと判断します。
場合によつては、バレエのソロバリエーションや、パドゥドゥなどあらかじめ動きが予測できる物に関しては、撮影できる可能性があります。
サイレントシャッターでは、十分な試写をしてはなかったのですが、ブラックアウト率高めかなっと思いました。
EOS Rの最大の問題点
EOS R メカシャッター シングルシャッターモードで試写すると、確かに真のブラックアウトはしませんが、ディレイドアウトしています。
時間的には 0.4秒くらいでしょうか。
非常に見づらいです。
これでは、ファインダー上で、例えば流れる雲のある風景を撮影したとしても、無意味なディレイドアウト画像をユーザが見なければなりません。
素直にブラックアウトしている方が問題が少ないです。
更に 最悪は、レリーズに撮影画像の確認表示をする モードにしていると、ディレイドアウト後に、真のブラックアウトが発生し、その後に撮影画像の確認表示がされます。その間 0.5秒くらいでしょうか。
シャッターを切って 撮影画像が表示されるまでに 1秒くらい いやもっとかかっている雰囲気があります。
もちろんシャッターで三三七拍子をきるというバフオーマンスもありません。
私的には全く使えません。
またサイレントモードは、連写不可という 馬鹿げた仕様になっています。
そんな馬鹿な表示をしているミラーレスは、現存する各社の最新のミラーレスにおいてEOS R 位だけでしょうか。
追記
瞳AF は おそらくSonyとの機能比較上あり/なし レベルで登載したと思われますが、瞳AFおろか確認認識AFも、なんちゃってAFレベルです。
よっぽどZ7の顔認識の方が実用レベルです。
EOS Rの良いところ
シャッター周り以外の箇所は、よく仕上がっています。
特にモニター液晶をタッチパネルとして各種機能要素を使えるように盛り込んでいるのも、これは慣れによつて結構使えると思います。おそらく私の知る限り No1 です。
AF性能そのものは、それなりに使えると思います。
ファインダーも良いです。パナソニックライクです。Z7と比較してどうかと言われれば、私は品性を感じるZ7ですが、まぁ好みの問題レベルでしょう。
Rレンズの24-105F4は ファインダーを通して見られる画像レベルでも優秀さがわかりますが、これはとても良いです。
モニター液晶だけでなく、全体のハードとしての操作性は、慣れが必要ではあります。スマホ世代の若者には ノーストレスですが、既存の高齢キャノンユーザには、一眼レフとは全く異なった操作を要求する事になり、意見の分かれるところではあります。
EOS R 全体に感じた事
おそらくNikon Zが想定外にリリースされた為に、プロトタイプ的な物をリリースしたというのが、私の結論です。
カメラの基本の箇所の問題点とそれ以外の作り込みのレベルが全くあっていないのです。
もしかしたらセンサーまわりのハードの開発とも影響しているのかもしれません。
おそらく 鶴の一声で現在出荷できる物を急遽作成したものと思われます。
その中で ブラックアウトは起こすな! あるいは 次製品のキーコンセプトとしてブラックアウトレスだったので、ブラックアウトという言葉が先行してしまうのを嫌だったのでしょう。
Sony はブラックアウトしない
Canon はブラックアウトする (実際にはブラックアウトよりタチの悪いディレイドアウトですが)
という誰にでもわかる評価をされたくなかったように勝手に推測しています。
ボディ内手ぶれ補正にしても、同じでしょう。
おそらく 開発者としては、辛酸をなめていると思います。
ブラックアウトしなければ良いのか それじゃー ディレイドアウト で出すしかないな。
開発要件を決めている一部の人は、開発者の想いも無視した製品であるかもしれません。Canonの開発者だってそれなりに、わかっていると思います。
それよりも大きな問題点
真の問題点はユーザーレビューとして きちんと世間に出回っていないのが最大の問題でしょう。
最後に
おそらく時間とともに、Canonもこの問題を解決した製品を出すだろうし、現行ではリリースすべきではなかったと考えます。
ウサギよりカメが先を行ってしまったというのが現状です。
がんばれ ウサギ !
なを 私の短時間の試写でしたので 間違った内容もあるかも知れませんが、その点あしからず...
TAGS: EOS R | 2018年9月20日