卓球 伊藤美誠
伊藤美誠がスウェーデンOPで世界No1を含む中国選手3人を撃破して優勝。
私は福原選手が高校生で日本代表になった時、大きな問題だと思った事がある。
彼女は世界No1になる事を止めて、日本選手として勝つことを優先した。
10代には10代の時にしか鍛えられない要素がある。
それをやめて、大人になっても鍛えられる技術を伸ばす事に方向を変えた。
まぁ当時であれば、中国卓球を求めるのは仕方のない事であるが、中国卓球をしている間は、それを追い越せない。
10代の時にしか延ばせない技術は、高速卓球による神経反応スピードの向上なのである。負けても・負けてもそれを追い求めて欲しかった。それ以外の技術は、後年になっても伸ばす事ができるのにと思った。
美誠が出てきた時、私はコレだと思った。
彼女は自分のパフォーマンスを伸ばす事しか考えていない。
負けても・負けても自分のパフオーマンスを磨く事。
高速卓球。
力強く・反応性の高い 超ショートフックのようなラケット面。
中国卓球の基礎は、色々あると思うが男子も女子もドライブ主体。
ドライブは安定感と威力を両立させる技術ではあるが、どうしても玉ははねる。
美誠の打ち方は、基本的にはライジングによるフラット打ち。
ドライブを生半可なフラット打ちをすれば、その回転力に負けてしまうが、彼女独特の超高速にラケット面を玉にぶつけるようなやり方でしか、そのフラット打ちができない。
それとドライブのように腕を大きく振り被さないので、打球方向が読みにくい。
彼女の打ち方は、相手の玉の威力を利用して玉とラケット面をフラットに当てる事を基本としているが、最後のラケット面の方向を変えるだけで、玉を左右に振り分けている為、相手に玉の方向が予測しづらい。
もちろん腕を振り被すドライブでは、腕を伸ばす事で玉の出所が遅れてみえるメリットはあるが、玉の方向性が相手にわかり易い事に違いはない。
彼女の打ち方は、玉を当てる瞬間にラケットを押し込んでいる。
重要な事は、それを単なる手先だけではやっていない事だ。
身体全体を使った動きの中の最後の瞬間を全てラケットと玉との打球時に集中されている事だ。
特に彼女がバックハンドで打つ時には、利き腕でない身体の左側を見て欲しい。
きちんと左肩を引いてと右肩と左肩が一直線に並んでいる場合がよくある。
それがとりも直さず強い打球感を生んでいると私に見える。
身体の小さな彼女だからこそ自然と身に付いた身体の使い方だと思うが、これはコーチングでは教えられたものではないと思う。
一方中国卓球では、ほとんどの場合は、攻守一体の卓球で、身体はオープンスタンスが基本だ。これでは、確かに守備半は大きくなるが、打球に力をつけにくい。それはとりもなおさず、ドライブ主体の打ち方との総合的な身体の使い方だと判断している。
恐らく、中国卓球で現在20歳以上の選手達は、もう彼女の技術を手に入れる事はできないと推測している。
彼女のような打球感をつかむには、10代の若い時にしか手に入れられない神経スピードを養うしかないと考えている。
恐らく20歳以上の中国選手では既に、美誠卓球には対抗できないと判断している。
中国では、相手選手を想定してその選手に似せた選手を用意して練習するするそうだ。もちろん美誠想定の若い年代の選手も用意されていて、その選手には美誠は最近負けているのだ。
私が見たいのは、美誠選手と同タイプのその選手との高速卓球を見てみたい。
既に従来の中国卓球では、美誠選手の力を引き出せない。
それと何よりも大切な事は、美誠選手にあこがれて、日本の若い選手が彼女の卓球を求める事である。
張本は素晴らしい、男子卓球では卓球界隈を変えている。
それ以上に 伊藤美誠の成長速度は高速になっている。
当然の事だが、伊藤美誠の技術は、その超ショートフックだけではない事は承知の上だか、恐らく今までの卓球の質を変革すると思われる。
追記
フラット打ちと評しているが、フラット打ちに近いやり方で回転は入っていますが、タイミングの取り方はフラットでも打てる打ち方で、またに、腕の振りが見えないネコパンチのようなミニキャノン打ちをしている と言った方が良いと思います。
また伊藤は自分の得意な高速卓球に持ち込む為に、敢えて、つっつき主体の台上の展開から相手に打たせる球をあげて相手に打たせてからの打ち合いの展開に持ち込む事も意識的にやっているように見える。
2018年11月5日