電子先幕シャッター
シャッターの種類には、以下の3種類があります。
A.メカシャッター
B.電子シャッター(サイレント)
C.電子先幕シャッター
A.メカシャッターは、先幕と後幕によって、シャッターを機械的に制御する方式で、これはフィルム時代から使われてきたものです。
B.電子シャッターは、センサーの半導体のみで制御する方式です。
サイレント撮影とも言われていますが、現在のセンサーはCMOS方式で画像を1ライン毎に読み取る方式なので、蛍光灯フリッカーや、ローリング現象が発生してしまいます。
フリッカーは原理的には、メカシャッターでも発生しますが、それに加えて、ラインセンサーによる影響がさらに加わります。
C.電子先幕シャッターは、メカシャッターの先幕のみを電子制御に変更し、後幕の箇所をメカシャッターで利用する方式です。
これであれば、基本的にはメカシャッターと同一の機能を発揮できますが、以下に述べるような欠点があります。
もともと、メカシャッタというのは、センサーの前に物理的な幕を動かすものに対して、電子シャッターそのものは、半導体センサをOFFする事によって実現するものです。そうすると、物理的な幕と、論理的な電子制御の幕の位置がずれる事になります。レンズの口径や絞りにも影響しますが、高速シャッターで開放絞りの条件で、口径食かけが発生する要因にもなります。
長所としては、もちろん、メカシャッターで動作する幕制御が半分となるので、その分、物理的なシャッターによる振動が少なくなり、その結果としてシャッターフィーリングさえも、メカシャッターでは、「カシャン」と言ってたものが、「カシャ」という音やフィーリングに変わります。
B.電子シャッターは、ラインセンサーである事が問題を発生させているのですが、詳細に見れば、先幕シャッターを閉じる=ラインセンサーをリセットする、後幕シャッターでセンサーを暗くする=露光された半導体センサーに一定量蓄えられた電荷を読み取る という事を繰り返す事によつてなされています。
問題は、この電荷を読み取る速度が遅いのです。
C.電子先幕シャッターは、後幕シャッターを物理的に制御する事で、物理的な幕でセンサーを覆ってしまうので半導体センサーに蓄えられた電荷情報を読み取らなくても、次のラインセンサーの露光が行える事になるのです。この部分だけをとれば、メカシャッターと同一の動作になります。
なを先幕機能を電子シャッターで行うという意味は、電荷の読み取りは発生しないので、高速にラインセンサーをOFF(電荷素子のリセット)にできるからこその機能です。
舞台撮影では、電子先幕シャッターで使える最高シャッター速度1/2000S 以上を使う事なんて、0% です。
更に、ミラーレスでメカシャッターが小さくなっているのですが、更に物理制御上の音が小さくなり、ブラックアウトの減少及びシャッターレスポンスが若干上がっているように実測しています。
よって公演で観客優先の舞台ではサイレント撮影が規定値ですが、発表会で動きのある舞台バレエ撮影では、電子先幕シャッターを規定値にした方が良いと考えています。
写真は、Lumix S1 のシャッター機能を選択する箇所です。
S1では、メカシャッター、先幕電子シャッターを選択できるのは当然として、それらの自動切り替えがついています。
この自動切り替えは、評価した所、シャッター速度1/2000S以上は、自動的にメカシャツター、以下は電子先幕になっていました。
これは使い易いですね。
Nikon Z には、自動切り替えはありません。
ちなみに Nikon Z6 + 電子先幕で動態評価をした所、結構レスポンスよく、E-M1Xを90点とした場合、85点レベルかなっと思えます。
意外と使えそうです。
2019年4月25日