バレエ 写真撮影の要
BALEET[バレエ] PHOTOGRAPH[写真] JOB[仕事]
バレエは動き物を撮るという観点から言えば、写真の分野では動態・スポーツ撮影領域であり、カメラ機材もその系統の物が必要となる。
時に言われる事は、「舞台撮影はバレエが一番難しい」という事。
しかし一般のスポーツ系の撮影に対して、若干の違いでかつバレエ写真がそれ以外のスポーツと異なる所があると考えてる。
スポーツのほとんどは、その一瞬を撮ると言った場合、その一瞬は衆人の知る所でない場合が多い。
これは、写真として一瞬というのは、カメラマンが知っている所であり、その一瞬が成功したものかそれ以外の物だったのか、衆人は明確に判断しがたい所があり、撮影された物が本当に適切な物かどうか不明確な場合が多い。
バレエ写真が本当に難しいのは、「その一瞬」というのが、衆人の誰もが良いか悪いかが、わかる事だと言える。
写真の専門家でなく、一般の人達、少なくともバレエ教師クラスであれば、本当にその一瞬なのか、そうでないかが、明確なのであり、カメラマンはその正しい一瞬を撮り続ける事が必要なのである。
上記写真など、一見撮れそうでいて、撮れて当然と思われるが
初心者撮影者ならば、大凡全体が飛んだ瞬間に合わせてシャッターをきるが、それは間違い。群舞の場合、ロシアバレエ団でもこの人数くらいになると、ジャンプの頂点が揃うのは困難。
なので、全体を見て撮ると、それは散漫な写真になってしまうが、バレエ撮影者でも初心者の内はそうなりやすい。
特に発表会では、全員が揃うというのは、かなり厳しく奇蹟に近い。
上記写真で言えば、センタ前にいる女性(佐藤愛美さん)にタイミングを合わせて撮っている。タイミングは代表となる人を決めて撮る。
もちろん同じ動きをする場合には、2回目は、それ以外の人にタイミングを合わせて撮る。(発表会なので)
この場合、バレエに精通している人ならば誰でも写真の瞬間を撮るタイミング的には適切だとわかる。
この事が他のスポーツ系の写真とは異なる所だと思う。
誰もがわかる一瞬を、さも当然のごとく撮り続ける事が、舞台写真としてもスポーツ系統でもバレエが難しいという所。
ある程度の技量を持った人達であれば、大概のその一瞬は既に撮る以前に決められているものであり、極端な話、被写体を見ずしても撮れる場合があると言える。
バレエの動きの理解は、少なくとも、自らバレエ経験を最低でも10年以上実施し、自分の目で、素人バレエ・プロバレエの違いを実感しておく事が、一番必要な事とも言える。
プロバレエだけをみても、バレエの真の理解はできないと言える。
これがとても、難しい事。
下手な人のバレエの動きを見て、どこがダメなのかを見抜く技量・視点が養われている事が、バレエ写真撮影として一番必要な事であり、高等な撮影技量。
連写能力が強いカメラがある。
現在で言えば、20コマ/秒間 というのが、実質の最高速度になっている。
もちろんシャッター速度の低い動画での120コマ/秒というのは、意味がない。
20コマ/秒= 20フレーム/秒 = 20fps = 50ms/枚 = 0.05秒/枚
RAWで連写能力で、2時間に及ぶバレエを撮れるなど、実質的ではないが。
もし 20fps でバレエのどの程度の一瞬が撮れるかと言えば、比較的ゆっくりな、コッペリア・女性のバリエーションで、両手アロンジェ、片足をアラセゴンで高く上げる典型的なシーンがありますよね。
その場合に撮るべき一瞬というのは、時としてアラセゴンに高く上げた足の先が、アロンジェした手の先に触れる時であったりします。
その一瞬が撮れてなかったら、写真としては、ダメという評価がされる場合があります。
(もちろん運動的な可能性と、美とは別ですが…)
20fps程度でその部分を連射した場合、その一瞬は、まず撮りきれません。
その程度なんですよ。20fpsのカメラなんて。
それよりもプロカメラマンがタイミングを計って、手と足が触れる一瞬にシャッターーをきった場合の方が、一瞬が撮れる場合が多いと考えます。
バレエの写真撮影は、基本的には、予測された動きを予測通りに1カット毎に分解して撮って行くのが基本になります。
その為には、その予測能力、事前にその動きの理解がある事が、よりよい写真の為に必要な知識になります。
現状ほとんどのミラーレスカメラは、カメラマンに本当に必要な一瞬のシャッターをきる事ができません。それが実情なのだが…
2021年には変わって欲しいもの。
2020年8月21日